コエンザイムQ10は、エネルギー産生を向上させる効果と、強い抗酸化作用が期待できるサプリメントです。
この記事では、そんなコエンザイムQ10の筋トレ効果について徹底解説していきます。
目次
コエンザイムQ10とは

コエンザイムQ10は、かつてビタミンQといわれたビタミン様化合物です。
肉類や魚介類などの食品に含まれている脂溶性の物質で、ヒトの体内でも合成されています。
エネルギーの生成に必要不可欠な物質であり、体内のエネルギー単位であるATP (アデノシン三リン酸) の産生に深く関わっています。
また、強い抗酸化作用を持つことから、抗酸化物質としても注目されています。
コエンザイムQ10の「10」という数字は構造中のイソプレンという化学構造の繰り返し数を表しています。
1つのイソプレンは5個の炭素からできており、10個のイソプレンは50個の炭素数になることから、コエンザイムQ10をコエンザイムQ (50) と表示することもあります。

生物界に広汎に (=ユビキタス:ubiquitous) 分布するキノン構造を有する物質であることから、ユビキノン (ubiquinone) と呼ばれることもあります 。
コエンザイムQ10の働き
働き① 生命維持・活動に必要なエネルギーを作る
生命維持・活動に必要なエネルギーは、細胞の中にあるミトコンドリアで作られます。
このエネルギーの単位のことをATP(アデノシン3リン酸)といいます。
ATPは食事から摂取した『栄養素』と、呼吸で取り入れた『酸素』を利用して作られますが、このエネルギー工場(ミトコンドリア)で不可欠な成分が「コエンザイムQ10」です。
コエンザイムQ10は、酸化分解の過程(食品がエネルギーに変わっていく過程)において「潤滑油」のような働き(電子伝達)をします。
したがって、コエンザイムQ10が十分に体内にあることで、エネルギー産生をスムーズに行うことができるようになります。
働き② 体内の活性酸素を除去する
人間の身体は呼吸から取り入れた酸素を利用してエネルギーを作り出していますが、その際に「活性酸素」が発生します。
活性酸素は内に侵入してきた細菌やウイルスと戦ってくれる身体の防衛システムも担っていますが、大量に増えすぎると疲労の原因となるほか、生活習慣病やガンを引き起こすとも言われています。
そうした活性酸素の害を防ぐために、CoQ10には抗酸化作用が付与されています。
また、同じく抗酸化物質であるビタミンEが酸化された際に、リサイクルして再び使えるようにする働きもあります。
コエンザイムQ10の効果
エネルギー産生の向上
コエンザイムQ10は、ATPをスムーズに作り出すための潤滑油として働くことから、十分量を摂取することによりエネルギー産生を向上させてくれます。

これにより、パワーや持久力の向上、脂肪燃焼の効率アップなどの効果が期待できます。
疲労回復
コエンザイムQ10を摂取によりエネルギー産生が高まることで、疲労からの回復も早くなると考えられます。

また、抗酸化物質は活性酸素による細胞膜の損傷を防ぐことで筋肉の炎症を抑制するので、筋トレ後の回復を促進する効果も期待できます。
血行促進
CoQ10は血行を改善する効果も高く、その作用はNO産生を改善するところにあるようです。(※6)
血行が良くなることで、筋肉に輸送されるアミノ酸、炭水化物、成長ホルモン、酵素、テストステロンなどの量も増加し、筋肉の成長を促してくれます。

おそらくはアルギニンやシトルリンとの相乗作用が期待でき、NOサプリメントにユビキノールが追加されるようになるかもしれ
コエンザイムQ10に関する主な研究報告
【1】100名のベテラントレーニーのドイツ人に還元型のコエンザイムQ10を一日300mg、
【2】40名のⅡ型糖尿病患者にコエンザイムQ10を一日200mg、12週間に渡って摂取させたところ、血流改善により上腕動脈が1.6%拡張した。(※6)
酸化型(ユビキノン)と還元型(ユビキノール)
コエンザイムQ10には「酸化型(ユビキノン)」と「還元型(ユビキノール)」の2種類が存在します。体内のCoQ10はほとんどが「還元型」ですが、サプリメントとして市販されているものはほとんどが「酸化型」です。

実はエネルギーを産みだすためにも、抗酸化作用を発揮するためにも、コエンザイムQ10は還元型である必要があります。
「酸化型」のコエンザイムQ10を摂取した場合は、体内で「還元型」に変換されてから効果を発揮しています。
しかし、加齢や病気、ストレスなどによりその変換能力は低下し(※1,※2,※3,※4)、体内の還元型コエンザイムQ10の割合は低下してしまいます。
また、酸化型のコエンザイムQ10は吸収率が非常に低く、ある実験報告によれば、150mgのユビキノールを摂取した場合、
したがって、コエンザイムQ10は最初から「還元型」を摂取するべきです。
還元型コエンザイムQ10は、吸収率が高い上に、変換の必要がなくそのまま働くので、特に年齢が高めの方、激しいスポーツをする方、ストレスを多くうける方にも効果が実感しやすくなります。
コエンザイムQ10のサプリメントを選ぶときは、是非とも還元型の「Ubiquinol(ユビキノール)」を選ぶようにして下さい。
コエンザイムQ10の摂取方法
摂取タイミング
コエンザイムQ10は脂溶性なので、脂質を含んだ食事と一緒に摂取することで吸収率が高まります。
空腹時の摂取は避け、食後に摂取するようにしましょう。
また、摂取後5、6時間をピークにコエンザイムQ10の血中濃度が下がるため、1日に1回まとめて摂取するのではなく、2、3回に分けてこまめに補給するのがより効果的です。
摂取量
コエンザイムQ10の推奨量は100~300mgとされていますが、600mgの摂取でも全く問題はなかったようです。(※7)
健康目的なら一日300mg、パフォーマンス向上や体脂肪燃焼も目指す場合はその倍の600mgを目安に摂取しましょう。
ただし年齢や個人差があるため、適切な量を自分で見極めて摂取する必要があります。
コエンザイムQ10と合わせて摂りたいサプリメント
ビタミンE
コエンザイムQ10には、同じく抗酸化物質であるビタミンEをリサイクルして抗酸化作用を保つ働きがあります。
そのため、この2つは一緒に摂取することでより高い抗酸化作用が得られます。
コエンザイムQ10の副作用はほとんどないと考えてOK
エンザイムQ10はそもそも人間の体内にある成分です。
安全性は極めて高く、体質に合わないなどの副作用もほとんどないとされています。
そのため、上限値も設定されていません。
おすすめのコエンザイムQ10
上述の通り、還元型コエンザイムQ10のユビキノールを選びましょう。
カネカ 還元型コエンザイムQ10
こちらはカネカ社製の高品質な還元型コエンザイムQ10「カネカQH™」に、ビタミンEを配合した栄養機能食品です。
市場に流通している還元型コエンザイムQ10のサプリメントのほぼ全てには結局カネカ社の「カネカQH™」が使われています。
したがって、製造段階でのコンタミ(汚染)のリスクを減らすという意味では、国内で直接カネカの商品を購入するのが一番安心だと思います。
Now Foods Ubiqinol
海外メーカーのものであれば、Now Foodsのものが現状一番信頼できると思います。
もちろん原料には「カネカQH™」が使用されています。
過去にJarrow Formulasのユビキノール「QH-Absorb」からコンタミ(汚染)によるドーピング禁止物質の混入がありました。
アスリートの方はJarrow Formulasの商品は避けるのが無難です。
ドーピングチェックのある団体に所属しているアスリートの方へ

最後に、ドーピングチェックのある団体に所属しているアスリートの方へ注意喚起をしておきます。(一般の方は読み飛ばしてもらって結構です)
市販されている全てのサプリメントには、製造の過程で成分表示外の禁止物質が混入している可能性があります。(コンタミネーション)
インフォームドスポーツのような全ロット検査のアンチ・ドーピングプログラムの認証を受けている商品は限りなく安全に近いですが、それでも禁止物質が混入している可能性はゼロではありません。
僕がこの記事で紹介しているサプリメントは、一応過去にドーピング違反物質が含まれていたという事例はないメーカーの商品ですが、今後コンタミが起きない保証はどこにもありません。
「海外製はダメ、国産なら安心!」という単純な問題でもないです。
脅しをかけるようで申し訳ないですが、そういったリスクを認識した上で、「あくまでも自己責任」で購入されるようお願いします。
まとめ
今回は「コエンザイムQ10の筋トレ効果」について解説しました。
コエンザイムQ10はエネルギー産生を向上させる効果と、強い抗酸化作用が期待できる有益なサプリメントです。
また、CoQ10には男性機能を改善する作用もあり、精子の量や運動性を高める(※8)ことが知られているので、そういった作用を期待して摂取するのもアリです。
記事内でも述べましたが、コエンザイムQ10を摂取する際は、できるだけ還元型(ユビキノール)を選ぶようにしましょう。
それでは今回はこの辺で!
【参考文献】
※1:
Lopez-Lluch et al, AGE 27:153, 2005
※2:
Shih et al, Biogerontl 8:71, 2007
※3:
Lim et al, Diabet Med 23:1344, 2006
※4:
Lim et al, Atherosclerosis 196: 966, 2008
※5:
山本義徳, エビデンスによる最新ボディメイク-【
※8:
Efficacy of coenzyme Q10 on semen parameters, sperm function
and reproductive hormones in infertile men. J Urol. 2009 Jul;182(1):237-48. doi: 10.1016/j.juro.2009.02.121. Epub 2009 May 17