カーボとは糖質のことです。
トレーニング中に糖質を摂ることで、運動のパフォーマンスが向上したり、筋肉の分解を抑制できたりといった効果が得られます。
ここではそんなカーボドリンクについて詳しく解説していきます。
目次
カーボドリンクとは
カーボドリンクとは、糖質入りの飲み物のことです。
運動中~後にかけて摂取することで、エネルギー切れを防いだり、筋肉の分解を抑制したりといった効果が得られます。

アクエリアスやポカリスエットといったスポーツドリンクもカーボドリンクの一種ですが、これらは吸収の遅い「果糖ぶどう糖液糖」や「砂糖」が使われており、カーボドリンクとしては低品質です。
トレーニーやアスリートの場合は、吸収率を極限まで高めたヴィターゴやCCDといった商品を利用するのが理想的です。
カーボドリンクの効果
カーボドリンクの効果としては主に以下の2つが挙げられます。
- 運動パフォーマンスの向上
- 筋肉の分解抑制
1. 運動パフォーマンスの向上
筋トレや短距離走のような無酸素運動から、マラソンのような有酸素運動まで、あらゆる運動に糖質は使われます。

運動中に糖質を摂取することでエネルギー切れを防ぎ、運動パフォーマンスの低下を防ぐことができます。(※1,2,3)
2. 筋肉の分解抑制
糖質にはパフォーマンスの改善だけでなく、筋肉の分解を抑制する効果もあります。

体重1kgあたり1gの糖質をトレーニング中に摂取することで、タンパク質の分解を抑制でき、窒素バランスをプラスにできたという報告があります。(※4,5)
カーボの種類としては「クラスターデキストリン」が最適
糖質の形態としては、まず糖質の最小単位であるブドウ糖、そしてブドウ糖がいくつか繋がってできたマルトデキストリン、さらに分子量の大きいクラスターデキストリンがあります。
- ブドウ糖(分子量180)
- マルトデキストリン(分子量1000~1万)
- クラスターデキストリン(分子量3万~100万)
運動中に摂取する糖質の形態としては、クラスターデキストリンが最適です。
クラスターデキストリンは、ブドウ糖やマルトデキストリンに比べると分子が大きい(同じ量でも分子の数は少ない)ため、浸透圧を低く保つことができます。
よって胃から腸への排出時間が非常に短くなり、運動中に飲んでも胃もたれすることなく容易にエネルギーを補給できます。
そして、胃から腸までスムーズに移行してからは、分子量が大きい分持続的に吸収されるため、エネルギーが長時間持続してくれるというスグレモノです。(※6,7,8)
カーボドリンクの飲み方と適したタイミング
ワークアウト中~直後で体重×1g程度の糖質を摂取しましょう。
ワークアウト前の摂取が推奨されることもありますが、運動前に飲んでしまうとインスリンの働きにより低血糖状態になってしまう可能性があるのでおすすめできません。
後述しますが、運動中は糖質を摂取しても低血糖にはならないので大丈夫です。
各タイミングにおける具体的な飲み方は以下の通りです。
ワークアウト中
ワークアウト中の糖質を摂取することでエネルギーを補充し、グリコーゲンが枯渇するのを防ぎます。
普通のマルトデキストリンは胃もたれしやすいのが問題ですが、糖質濃度を6%程度に抑えることで、胃もたれしにくく、吸収速度を適度に早めることができます。
クラスターデキストリンの場合は10%ぐらいまでは大丈夫なようです。
体重70kgの人で、マルトデキストリン(粉飴)なら1リットルの水に40g程度、クラスターデキストリン(CCD, ヴィターゴ)なら70g程度を入れてトレーニング中に飲み切ります。
これに加えてBCAAやクエン酸も一緒に摂ることで、さらなるパフォーマンスの向上・疲労回復効果が狙えます。
ワークアウト後
ワークアウト後にプロテインと一緒に糖質を30~40g摂取しましょう。
ワークアウトにより失われたグリコーゲンを補充するとともに、インスリンの分泌が高まることで筋肉の合成がより促されます。
ワークアウトではグリコーゲンだけでなく、グルタミンも大量に失われるため、グルタミンも一緒に摂ると良いでしょう。
よくあるカーボドリンクへの疑問
最後に、カーボドリンクに関してよく聞かれる質問について答えておきます。
糖質をそんなに摂って太らないの?
当然1日のトータルの摂取カロリーが消費カロリーを上回っていると脂肪が増えてしまう可能性はあります。
しかし、同じ量の糖質を摂るなら、トレーニングの周辺に集中させた方が太りにくいです。
トレーニング中は、筋肉がブドウ糖を細胞内に取り込む働きが活性化しています。
これは筋肉の物理的な収縮や血行の促進により、GLUT4と呼ばれる「ブドウ糖の運び屋」が細胞の表面に出てくることでブドウ糖の取り込みが促進されるからです。
この状態は運動開始後すぐに始まり、運動終了後3時間ほど続きます。(※11)
つまりトレーニング中~3時間後は筋肉が糖質を欲している時間帯であり、大量に糖質を摂取しても余ることなく使われるため脂肪になりにくいのです。
インスリンの働きで低血糖にはならないの?
これは先ほど少し触れましたが、運動中に糖質を摂取しても低血糖にはなりません。
運動中はアドレナリンやグルカゴンなど、血糖値を高めるホルモンが大量に出ているため、低血糖にはならないのです。
ただし、運動前の摂取は推奨できません。
運動前はアドレナリンもグルカゴンも出ていないので、低血糖になり運動の妨げになる可能性があります。
カーボドリンクは運動が始まってから飲むようにしましょう。
おすすめのカーボ
【最高級カーボ】ヴィターゴ
クラスターデキストリンの商品としては、ファイン・ラボの「ヴィターゴ」が最も優れています。
ヴィターゴはブドウ糖やマルトデキストリンと比べて、グリコーゲン補充は約1.7倍(※9)、胃の通過時間は約1.9倍速い(※10)という研究結果が得られています。
1kg約5,000円と高価なのが難点ですが、その効果は確かなものです。
【コスパ最強のクラスターデキストリン】CCD
コストパフォーマンスを重視するなら、おすすめはグリコの「CCD」です。
CCDは1kg約2,500円とヴィターゴの半額程度の値段で、クエン酸やカリウム・ナトリウムなども配合されています。
【安さを求めるなら】粉飴
さらに安さを求める場合は、「粉飴」を買いましょう。
粉飴の中身はただのマルトデキストリンで、スポーツサプリメントとして売られているものよりもかなり安価で手に入ります。
ドーピングチェックのある団体に所属しているアスリートの方へ

最後に、ドーピングチェックのある団体に所属しているアスリートの方へ注意喚起をしておきます。(一般の方は読み飛ばしてもらって結構です)
市販されている全てのサプリメントには、製造の過程で成分表示外の禁止物質が混入している可能性があります。(コンタミネーション)
インフォームドスポーツのような全ロット検査のアンチ・ドーピングプログラムの認証を受けている商品は限りなく安全に近いですが、それでも禁止物質が混入している可能性はゼロではありません。
僕がこの記事で紹介しているサプリメントは、一応過去にドーピング違反物質が含まれていたという事例はないメーカーの商品ですが、今後コンタミが起きない保証はどこにもありません。
「海外製はダメ、国産なら安心!」という単純な問題でもないです。
脅しをかけるようで申し訳ないですが、そういったリスクを認識した上で、「あくまでも自己責任」で購入されるようお願いします。
まとめ
運動中~後の糖質の摂取は、パフォーマンス向上や筋肉の分解抑制に強い効果を発揮します。
運動中~後にかけて体重×1g程度摂取するようにしましょう。
運動時の摂取には浸透圧が低く胃もたれしにくいクラスターデキストリンが最適ですが、ヴィターゴはかなり高価なので個人的にはCCDがおすすめです。
経済的にきついようなら、粉飴(マルトデキストリン)を使うと良いでしょう。
【参考文献】