アルギニンは、肉類や大豆食品などに含まれるアミノ酸の一種です。
アルギニンには運動により発生するアンモニアを無毒化する働きがあるため、疲労からの早期回復を促してくれます。
また、NO(一酸化窒素)の生成を増やして血流を増大させ、トレーニング中のパンプを促す効果もあると言われ、プレワークアウトサプリの定番成分として広く使われています。
その他にも成長ホルモンを増やしたり、インスリン感受性を向上させたりと様々な効果があることから、トレーニーやアスリートは是非摂取しておきたい成分です。
目次
アルギニンは大豆製品に多く含まれるアミノ酸の一種
アルギニンはアミノ酸の一種で、肉類や魚介類、大豆製品などに多く含まれますが、特に大豆製品に多く含まれています。

アルギニンは、体内の毒素であるアンモニアを尿素に変えて無毒化する経路(尿素回路)に深く関わっているほか、NO(一酸化窒素)を産生して血流を促進したり、クレアチンの合成に関わったりと、ヒトの身体において様々な役割を担っています。
アルギニンの持つこれらの働きは、スポーツや筋トレにおけるパフォーマンス向上に繋がるものであり、アルギニンはアスリートにとって必須のアミノ酸と言えるでしょう。
アルギニンを多く含む食品の例
アルギニンを多く含む食品の代表例として、次のような食品が挙げられます。
- 鶏肉
- 牛肉
- 牛乳
- 海老
- 大豆
- ナッツ類
- レーズン
- 玄米
これらの中でも特にアルギニン含有量が多いのは大豆食品で、100g中のアルギニンの含有量は以下のようになります。
- 味噌 (910mg)
- 納豆 (940mg)
- 大豆 (2,800mg)
- 高野豆腐 (4,200mg)
普段の食生活においてアルギニンは不足がちです。
毎日の食事に上手に摂りいれるためには、多くの食品をバランスよく摂取することが大切となります。
アルギニンの形態としては、通常のL-アルギニンで十分
アルギニンの形態としては
- L-アルギニン
- アルギニンAKG(アルファケトグタル酸)
- アルギニンHCL(塩酸塩)
などがあります。
このうち、もっと最も一般的に利用されるのはL-アルギニンですが、L-アルギニンは吸収率が悪いです。
そこで吸収効率を高めるためにアルギニンAKGやアルギニンHCLなどの形態が開発されているのですが、実際のところこれらの吸収率がL-アルギニンよりも優れているという信頼できるデータは今のところありません。
したがって、アルギニンを選ぶ際は通常のL-アルギニンで十分だと思われます。
アルギニンの働き
NO(一酸化窒素)の生成 → パンプ感の向上
アルギニンは体内でNO(一酸化窒素)に変換されます。そのため、アルギニンを摂取すると体内のNO産生が高まります。(※1)
NOには、血管を拡張して血流を促進する働きがあり、血流を通して筋肉に送られる酸素や重要な栄養素(グルコースやアミノ酸など)や、同化作用(筋肉をつくる働き)を持つホルモンの量を増やすことができます。
また、血流の増加によってワークアウト中のパンプ感が増す効果が期待できます。
尿素回路の活性化 → 疲労回復
運動を行うと、体内で有毒物質であるアンモニアが発生します。
このアンモニアを尿素に変えて無毒化する経路が尿素回路(オルニチン回路)です。
尿素回路について簡単に説明しましょう。

まず体内で生成されたアンモニアは、血液に乗って肝臓に運ばれます。
肝臓でアンモニアはオルニチンと結合して、シトルリンになります。
続いてシトルリンは様々な反応を経てアルギニンになり、そのアルギニンは最終的に加水分解されて尿素とオルニチンになります。
そしてまたオルニチンとアンモニアが結合して・・・というような一連のサイクルでアンモニアは常に無毒化されています。
これが尿素回路です。
アルギニンを摂取することでこの尿素回路は活性化して、アンモニアの除去がスムーズに行われるようになります。
アンモニアは疲労の原因となる物質なので、尿素回路が活性化することは疲労の抑制・回復につながります。
クレアチンの合成促進
アルギニンは、体内でクレアチンを合成する際、アミジノ基の供与体として使われます。
つまりアルギニンを十分に摂取することでクレアチンの合成を高めることができるのです。
クレアチンの合成量が増えることで、筋力・パワー向上や筋量増加などの効果が見込めます。
クレアチンの合成における、もうひとつの重要成分であるベタイン(トリメチルグリシン)も一緒に摂取することでさらに効果が高まると考えられます。
インスリン感受性の向上
アルギニンには、インスリン感受性を向上させる効果もあります。(※2)
インスリン感受性が高まるということは、食事を摂取した際のインスリンの分泌が少なくて済むということを意味します。
したがって、アルギニンを摂取することで、脂肪の蓄積を抑えつつ、効率的に筋肉にアミノ酸と炭水化物を運ぶことが可能となります。
結果として極力脂肪を増やさずにバルクアップする効果が期待できます。
成長ホルモンの分泌促進
アルギニンには、成長ホルモンの分泌を増やす効果があります。(※3)
成長ホルモンには脂肪の分解を促す作用があるため、減量に効果を発揮すると考えられます。
アルギニン、シトルリン、オルニチンならシトルリンを摂るのがベスト
尿素回路の活性化のところでも説明したように、アルギニン、シトルリン、オルニチンの3つは体内で相互に変換されています。
したがって、この3つの成分はどれをとってもほとんど同じ効果を得ることができます。
しかし、この3つで異なるのはその吸収率です。
アルギニンは吸収率が悪く、経口摂取してもあまり吸収されません。オルニチンも同様です。
一方、シトルリンはこの2つに比べて吸収率がかなり優れています。
そのため、アルギニンより少ない量で血中のアルギニン濃度を高めることができます。
そのため、基本的にはサプリメントとしてはシトルリンを摂取するのがベストということになります。
ただし、クエン酸のような酸性のサプリメントを摂取する場合は、アルギニンを一緒に摂ることで中和できるというメリットはあります。
また、価格もアルギニンが一番安いので、そういった部分を考慮した上でアルギニンを選ぶのはありだと思います。
ただ、あえてオルニチンを摂取する意味は特にないと言えるでしょう。
アルギニンの摂取方法
1日3~6gを空腹時に摂取します。
アスリートの場合通常よりも必要量が多いため、1日合計10gを目安に摂取すると良いでしょう。
アルギニンの副作用
肝臓や腎臓機能が低下している方、統合失調症、ヘルペスウイルスなどウイルス感染者はアルギニンの大量摂取に特に気をつける必要がありますが、いずれにしても常識的な量を摂取していれば、アルギニンによる副作用は基本的に問題ありません。
摂取量が1日20g程度を超えない範囲であればまず問題ないでしょう。
ただし、一部の人には下痢の症状が出ることがあるので、胃腸の弱い人は注意してください。
おすすめのアルギニン
California Gold Nutrition, L-アルギニン
California Gold Nutritionは、iHerbのハウスブランドです。
アミノ酸系のサプリメントに関してはAjiPure®(味の素®の米国ブランド)の製品が最高品質だと言われていますが、この商品は100%AjiPure®が使われています。
高品質なL-アルギニンサプリメントを求める方にオススメです。
Now Foods, アルギニン&シトルリンパウダー
Now Foodsのスポーツシリーズの商品で、インフォームドスポーツというアンチ・ドピングプログラムの認証付きの商品です。

こちらのプログラムは全ロット検査が行われる最も信頼度が高い部類のプログラムです。
アスリートの方でアンチ・ドーピング認証付きのサプリメントを求めるいる方には、コチラの商品がオススメです。
アルギニンとシトルリンの複合サプリメントではありますが、アルギニン単体と比べて効果が落ちることはまずないはずです。
ドーピングチェックのある団体に所属しているアスリートの方へ

最後に、ドーピングチェックのある団体に所属しているアスリートの方へ注意喚起をしておきます。(一般の方は読み飛ばしてもらって結構です)
市販されている全てのサプリメントには、製造の過程で成分表示外の禁止物質が混入している可能性があります。(コンタミネーション)
インフォームドスポーツのような全ロット検査のアンチ・ドーピングプログラムの認証を受けている商品は限りなく安全に近いですが、それでも禁止物質が混入している可能性はゼロではありません。
僕がこの記事で紹介しているサプリメントは、一応過去にドーピング違反物質が含まれていたという事例はないメーカーの商品ですが、今後コンタミが起きない保証はどこにもありません。
「海外製はダメ、国産なら安心!」という単純な問題でもないです。
脅しをかけるようで申し訳ないですが、そういったリスクを認識した上で、「あくまでも自己責任」で購入されるようお願いします。
まとめ
この記事では「アルギニンの筋トレ効果」について解説しました。
アルギニンは、インスリン感受性の向上、尿素回路の活性化、成長ホルモンの分泌促進など様々な効果が期待できるサプリメントです。
特にアスリートの方におすすめですが、吸収率のことを考えると、形態としてはL-シトルリンの方を摂取した方が良いかも知れません。
その辺りは色々試しつつ、自分の身体にあったものを最終的に選ぶのが良いと思います。
それではまた!